荷待ち時間を減らす方法。拠点の実情を測り、原因に合う打ち手から試す

読了 約6分

「荷待ち時間を減らす方法」というコラムの見出し画像

荷待ち時間を減らそうとして、最初に予約システムを探し始める拠点は少なくありません。ただ、打ち手は待ちの原因に合わせて選ぶものです。自分の拠点で待ちがどこに生まれているかを測らないまま仕組みを入れると、待ち行列が別の場所へ移るだけで終わることがあります。この記事では、実情の測り方、打ち手の並べ方、導入で決めること、運用開始までの流れを順に整理します。

その拠点の荷待ちの実情を測る

物流効率化法では、荷待ち時間を「ドライバーが到着した時間から荷役等の開始時間までの待ち時間」と定めています。目標として示されているのは、荷待ち時間と荷役等時間を合わせて、1運行で2時間以内、1回の受渡しごとに1時間以内にすることです。荷待ちだけを縮めても、荷役が長ければこの目安には届きません。

削減の出発点は、この区間を自分の拠点で数えることです。最低限、次の時刻を車両ごとに残します。

  • 到着した時刻(受付した時刻と離れる拠点では両方)
  • 呼び出した時刻
  • 荷役を始めた時刻
  • 荷役を終えた時刻

数日分でも並べてみると、待ちの原因がどこにあるかが見えてきます。主な型は次の三つです。複数の型が重なっている拠点もあるので、バースの稼働状況や人員配置とも突き合わせて見極めます。

型見え方先に打つ手
到着の集中特定の時間帯にだけ列ができる到着を散らす
荷役の詰まり一日中、少しずつ待ちが続く荷役時間を縮める
連絡の遅れバースが空いているのに車両が入ってこない呼び出し方を変える

型を見誤ると打ち手が外れます。荷役の処理能力を超える台数が一日中続く拠点では、到着を散らすだけでは待ちは解消しません。記録の制度面は荷待ち時間の記録義務とはで扱っています。

原因に合う打ち手を選ぶ

国土交通省が2020年に策定した「荷主と運送事業者の協力による取引環境と長時間労働の改善に向けたガイドライン 建設資材物流編」は、荷待ちが特に多かった輸送分野の一つとして建設資材を取り上げ、打ち手を事例付きで並べています。建設資材に限らず使える内容です。

構外の道路には車両がなく、柵の内側にトラックが停まり、1台が開いた荷役口の前で待つ。そばでドライバーが携帯電話を見ている
路上に列を出さず、構内で呼ばれる順を待つ

1. 到着を散らす ガイドラインは車両集中の分散化として、荷卸し時間の事前予約、荷卸し時間の事前指定、特定の事業者向けの専用時間枠、荷待ち時間情報の提供、荷卸し時間帯の拡大を挙げています。先着受付順で荷卸しの順番を決めていたため数時間前から構内で待つ車両が出ていた事例では、出荷メーカーごとに荷卸し時間を指定し、荷待ち平均時間が1台あたり60分から25分に縮んでいます。

2. 予定を前日と当日朝に合わせ直す 工事現場向けの事例では、工事の進捗を踏まえた入場時間の計画を共有し、当日の朝に再確認する運用に変えたことで、荷待ち平均時間が1台あたり75分から10分になりました。現場周辺の荷待ち車両もゼロになり、周辺住民からの苦情も無くなったとされています。

3. 荷役と納品条件を見直す 二次元コードによる検品の電子化や、養生シート掛け作業の一部機械化など、荷役側の時間を縮める事例も載っています。ガイドラインには、本来不要な時間指定が漫然と続いているケースがあるため、発着荷主で時間指定の必要性を協議し直したという記述もあります。

注意したいのは、ガイドラインが失敗例も挙げている点です。荷受けの順序や保管スペース、作業員の配置を考えないまま予約受付システムを入れ、結果的に全く機能しなかった例が紹介されています。着荷主が一方的に時間を指定したため運送事業者が運行計画を立てられず、機能しなくなった例もあります。

導入で決めること

打ち手を選んだら、動かす前に次のことを決めておきます。枠の粒度や遅刻の扱いといった予約そのものの設計はバース予約の運用設計で扱ったので、ここではその手前の判断に絞ります。

  • 縮める区間と目標値 — 到着から荷役開始まで、荷役開始から終了までを、それぞれ何分にするのか。制度の目安は荷待ちと荷役等を合わせて1回の受渡しごとに1時間以内なので、両方の現状値から配分を決めます
  • 時間枠を誰と決めるか — ガイドラインの成功例では、着荷主が時間指定制を入れる際に運送事業者側の希望も確認して時間枠を決めています
  • 例外の受け皿 — スマートフォンを使わないドライバーや初めて来る車両をどう受けるか。従来の受付を残すかどうかを先に決めて周知しておくと、現場の混乱を減らしやすくなります
  • 順番を入れ替える権限 — 先着順を崩してよい場面と、誰が判断するかを決めます
  • 見直しの頻度 — ガイドラインの事例でも、運送事業者や倉庫業者への聞き取りを定期的に行い、運用に反映しています

運用開始までの流れ

  1. 現状を測る — 「その拠点の荷待ちの実情を測る」で挙げた時刻を記録し、待ちの型を見極めます
  2. 打ち手を一つ選ぶ — 型に合う打ち手から試します。複数を同時に入れると、どれが効いたか分からなくなります
  3. 運送事業者と話す — 時間枠や呼び出し方法を一方的に決めず、運行への影響を確かめます
  4. 一つの拠点で試す — 敷地の広さも周辺環境も拠点ごとに違うので、条件の厳しい拠点から始める選び方があります
  5. ドライバーに周知する — 使ってもらうところまでが導入です。最初は面倒がられることを前提に、説明の手段を用意します
  6. 測り直して広げる — 導入前と同じ時刻で測り、曜日・時間帯・取扱量の近い日どうしで比べ、数字が下がったことを確かめてから他拠点へ広げます

方式の比べ方はトラック予約受付システムの選び方にまとめています。

TruckCALL での実例

TruckCALL™ は、LINEで受付・順番待ち・呼び出しができるトラック予約/受付システムで、呼び出しはLINE通知のほか電話・SMSにも対応しています。建設仮設資材のキョーワ株式会社様では、全国の拠点に導入し、全国主要センターでトラックが待つ時間の平均が約2時間から約30分になりました。75%の短縮です。

導入前は、敷地内に待機場所の無いセンターで順番待ちの車両が路上に並び、近隣からのクレームにつながっていました。導入後は、周辺で路上待機するトラックが0台になったセンターもあり、近隣クレームはゼロ、キャンセル率と立ち去り率の合計は約1%です。

前節の流れに沿って見ると、キョーワ様の進め方には次の特徴があります。

  • 例外の受け皿を残した — LINEを使っていないドライバーやガラケーの利用者には、従来どおりの受付方法を残しています
  • 使ってもらうところから始めた — 「登録が面倒」という声もあった中で、チラシを配りながら、まず試してもらうことから始めています。何度か使うと継続して使う人が多いと同社は述べています
  • 順番を入れ替える判断を現場に残した — 単純な先着順ではなく、車両の大きさや作業内容に応じて呼び出し順を入れ替えています
  • 測ったデータで次を決めている — 車両台数や受付から接車までの時間を見て、支店ごとの人員配置を実績に基づいて調整しています

まとめ

荷待ち時間を減らす手順は、測る、型を見極める、型に合う打ち手を一つ選ぶ、です。到着を散らす、予定を合わせ直す、荷役を縮める、という打ち手はいずれもガイドラインに事例がありますが、拠点の実情を見ずに入れると機能しない例も同じガイドラインに載っています。測った数字を起点に、運送事業者と話しながら小さく始めることが、遠回りに見えて確実です。

出典

  1. 自社(TruckCALL 導入事例・キョーワ株式会社様)https://truckcall.jp/case/kyowa-inc-co-jp//2026年10月5日 取得
  2. 自社(TruckCALL 導入事例・ミライリスホールディングス様)https://truckcall.jp/case/mirairis-hd-co-jp//2026年10月5日 取得
  3. 国土交通省「物流効率化法」理解促進ポータルサイトhttps://www.revised-logistics-act-portal.mlit.go.jp//2026年10月5日 取得
  4. 国土交通省 報道発表「建設資材物流編」ガイドラインの策定https://www.mlit.go.jp/report/press/jidosha04_hh_000216.html/2026年10月5日 取得
  5. 国土交通省「荷主と運送事業者の協力による取引環境と長時間労働の改善に向けたガイドライン 建設資材物流編」https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001346887.pdf/2026年10月5日 取得

関連する記事

コラム一覧へ戻る

まずは資料で、3分で確かめる。

サービス導入のご相談、お見積りなど、お気軽にお問い合わせください。
通常1営業日以内にご返信します。